2021年11月26日金曜日

DTS Headphone:X 2.0の7.1サラウンドは「低音によるマスク」が没入感を与えているのか…?

PRO X SUPERLIGHTのファームウェアを更新するために「G HUB」を一時的にインストールしたついでにPRO X DACのDTS Headphone:X 2.0を試してみましたが……

「点音源が面音源のように広がって音像と距離感がぼやけるだけのゴミサラウンド」ですね。
これをFPSゲームで使用して有利になるとは到底考えられません。

しかしながら過剰な低音による「マスク効果」があり、強い閉塞感を伴ってゲームに没入しているかのような体験ができます。

いわゆる「エンジョイ勢」にはウケると思いますが、「プロ」にとっては無用です。


私は何度も説明しているのですが、ゲームエンジンはゲームの三次元空間の任意の座標からリアルタイムに発生するサウンドイベントを現実と同じようなアルゴリズムでレンダリングしていて、最終的に汎用なステレオヘッドホンで適切に聴取できる音声を出力することで処理が完結しています。

サウンドデバイスはそれを受け取って音声として出力する役割(ようするにDAC…デジタルをアナログへ変換)しか担っていないのです。サウンドデバイス側で演算していると思っている人がいますが、それは20年くらい前までの仕様です。

ゲームエンジンはプレイヤーの一人称視点で現実に近い音響をレンダリングしているのに、デバイスやソフトウェアの余計な機能は「サラウンドスピーカー」や「ライブ会場」などで聞いているかのように加工するため、ゲーム本来のサウンドから乖離してしまうのです。

バーチャルサラウンドはいわばゲーム音声を二重に処理しているので「風呂場にいるように聞こえる」のです。

サラウンドという概念自体がもう時代遅れというか、「音響」「人間の聴覚」「ゲームエンジン」「利権」をよく理解していない人たちの間で盲目的に信じられているコンテンツの一つに過ぎません。

大したことのない技術やしょうもない商品を「すごい」と勘違いさせるのはゲーミングデバイス業界にはありがちです。裏付けとなる科学的根拠や論文を示さず、「特許」や「受賞歴」を誇っているところは疑ったほうがいいでしょう。
メーカーやYouTuberの主張を真に受けてはいけません。彼らは売るためには手段を選ばないからです。

不要なものを買わせるために付加価値をちらつかせるのは商売の常套手段であり、それ自体は別に悪いことではないのですが、いちいち取り合っていたら不快な思いをするだけです。

メーカーも今さら「サラウンドの誤解」を弁明することもできないので、このまま繰り返し続けるしかないのでしょう。

逆にいえば「プロゲーマー」はサラウンドを広めることで対戦相手に不利な条件を押しつけ、勝ちやすくする意図があるのかもしれないですね。

だまされている人は一生だまされていたほうが幸せかもしれません。

この話題にはもう触れないほうがいいと思います。


音というのは「空気の疎密波が連続して伝わって耳の鼓膜を振動させる現象」で「波」の性質を持っており、どれほど多くの音源があっても鼓膜に到達する際にはすべてが合成された1つの波形になっている、ということが肝心です。

人間の耳は頭部を挟んで約20cm離れていて、秒速340mの音は両耳の鼓膜へ最大0.6ミリ秒の遅延をともなって届き、頭部が障害物となるため音源の座標によって左右に到達する波形は変化します。聴覚というのは波形の違いを脳がリアルタイムに認識する過程であり、それが「音」の正体なのです。ここで重要なのは音源の物理的な座標が問題なのではなく、最終的に鼓膜に到達する波形がどうなっているのかということです。波の性質を理解していないと音源の座標に依存しているものだと思い込んでしまい、それを再現するためにはスピーカー(チャンネル)の数を多くするのが有効であるかのように勘違いします。事実100年前はそう考えられていました。

あらゆる音は時間軸で変化する「波形」で表すことができ、個々の音源が持っている周波数や振幅はもちろん、現実の空間における聴者との距離や位置関係、反射や吸収による変化には再現性があるので、ヘッドホンやイヤホンからそれと同じ「波形」を出せば同じ音響を得られることがわかっています。この事実は90年前(1931年)に明らかになっていて、モノラルとステレオの違いから聴覚の理解が深まるきっかけとなりました。

合成された1つの波形から脳は経験や記憶をもとにして個々の音に「分解」して聞き分ける能力を持っているため、何の楽器で演奏しているのかや、誰が話しているのか、騒がしい繁華街でも知り合いの呼び声に反応することができるのです。複数の楽器で演奏されている曲を「耳コピ」できるのも音の本質が波であるからです。

ゲームエンジンによるサウンドのレンダリングは、それに近いことを「自然に」かつグラフィックと同期するようリアルタイムで行っており、デバイスやソフトウェアによる二次的な処理に依存していません。音楽や映画を再生するのと違い、ゲームのサウンドはリアルタイム演算というのが重要で、音源がどのように移動するのかをデバイス側で先読みすることができません。そのため音源の変化を破綻しないようにするために「ぼやかす」処理がされ、本来ならば点として再現されている音源が「広がって」聞こえてしまうのです。「風呂場にいるように聞こえる」のはそのためです。

「7.1サラウンドのほうがステレオより優れている」と誤解する原因は、音の本質が「波」であることを理解していなく、スピーカーから放たれた「粒」が耳まで飛んでくる光景をイメージしてしまうところにありそうです。それで「スピーカーの数が多いほど音の方角を正確に聞き分けることができる」という誤った解釈に至ってしまうのでしょう。そういうセンセーショナルな内容のほうが受け入れやすいため、ゲーミングオーディオ業界から間違いがどんどん広まったのです。まるで音が全方向へ広がるように。

7.1chがバーチャルであろうがリアル(ディスクリート)であろうが、あるいは100chとか200chのスピーカーがあったとしても、そのすべての音は1つの波形にまとめられます。波は合成される──これを理解できていない人が非常に多いんです。ゲームのサウンドはデバイスのチャンネルに依存しない「オブジェクトベース」の音声を扱い、実質的に無限のスピーカーがあるかのような条件で演算されています。それが「最終的に人間の2つの耳でどのように聞こえるか」というのが「音」のすべてです。だから「ステレオ」がもっとも適しているという結論になります。これは懐古主義ではなく人間の耳の仕様です。

苦手な人でも物理の教科書を開いて波の項目を読んでみれば、人間の聴覚は「最終的に2つの波形」からあらゆる音を認識していることがわかるはずです。波のメカニズムを理解していれば、ヘッドホンで聞くのにマルチチャンネルが有利になるはずのないことがわかります。何度も言うようにゲームのサウンドはゲームエンジンによってリアルタイムに生成されているので、デバイスに独自の加工をさせるよりもそのまま再生したほうがいいのです。間違っても処理を二重に適用させてはいけません。




DTS Headphone:X 2.0は異常に強い低音を出すことで両耳とヘッドホンが一体化したかのような錯覚を起こさせ、ゲームに対する没入感を高めているものと思われます。

外音を遮断するノイズキャンセリングに近い効果があるので、「低音によるマスク」と表現するのが適切でしょう。
難聴や頭痛の原因になる可能性があります。

DTS Headphone:XというよりもDTSスーパーステレオモードが悪いんですね。

よく読めば「定位がよくなる」ではなく「定位感」というあいまいな表現が用いられていて、優良誤認を上手く回避していることがわかります。

「スピード感」や「危機感」と同じで「やってる感」をアピールする以外の何物でもありません。


実質的に無意味どころか音質の低下を招くだけのバーチャルサラウンドをなぜやめられないのか。

その理由は「クロストークの問題を根本的に解決できないから開き直っている」という可能性があります。

イヤホンの延長ケーブルを使用するだけでもクロストークが劇的に悪化することがわかったのですが、ゲーミングオーディオデバイスはホワイトノイズだけでなくクロストークも(そもそもハードウェアレベルで)悪いため、それをごまかすためにバーチャルサラウンドを実装しているのかもしれません。

バーチャルサラウンドは「遅延」や「クロストーク」、「ローパスフィルター」を左右の音声に対して意図的に追加することでそれっぽいサウンドの広がりを演出しているものなので、元のクロストークがひどいデバイスでもごまかしが利きます。
ようするに音響的に劣化していても「そういうものだから」と押し通せる分野なのです。

バランス接続はたしかに高音質でホワイトノイズがなくクロストークも少ないのですが、比較対象のALC1220がもともと優秀なので大きな変化は感じられませんでした。
XDUOO Link2 Balは使用中に本体がほとんど発熱しないことと、ハイエンドスマホやDAPを彷彿させる見た目の高級感に感動しました。





G HUBをすぐアンインストールしました。

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メーカーから相手にされないようなレベルでも、サポートをたらい回しにされている人でも答えが見つかるかもしれません。
特にゲーミングオーディオ、ヘッドセットのトラブルが多いですね。