DACとアンプで “10万円コース” となるオーディオの例。 |
今や「フルデジタル」でも問題なくこなせる処理をアップグレードしたところでオーディオシステムの価値を高めることにはならないのでしょう。
据え置きのDACやヘッドホンアンプの付加価値とはいったい…?
デジタルではなくアナログの部分でEQやエフェクトの処理を行うようにすることで、元のデータをいじらずにサウンドの完全性を維持し、位相のずれやひずみを抑え、自然な周波数の調整が可能になっているらしい。
アナログの回路を充実させればさせるほどコストが上昇し、消費電力と発熱が増加するため、一般ユーザー向きの商品ではなくなっていますが、興味のある人は試聴してみてください。
このZen CAN 3(下)とZen Blue 3(上)は一見同じものを重ねて置いているようですが、それぞれ役割が異なっていて両方必要な機材となっています。
ちょうど上のZen Blue 3に青色のランプが点灯しているのでわかりやすいですねw
BlueがいわゆるDACであり、その名から想像できる通りBluetoothの送受信に対応したレシーバーとトランスミッターでもある万能な装置。
RCA、同軸デジタル、光デジタル、USB、それにBluetoothによるワイヤレス入力が可能で、ほとんどのBluetooth 5.4のコーデック(aptX Lossless、aptX Adaptive、aptX、LDAC、LHDC/HWA、AAC、SBC)に対応しています。
出力はBluetoothと4.4mmバランスとRCAアンバランスと同軸デジタル、光デジタルに対応しています。
4.4mmに「イヤホンを直挿し」すればBlueだけでも使えるのではないかと思われるかもしれませんが、Blueの前面にある操作部分に注目してください。
ボリュームノブがないのです!
万が一Blueにイヤホンを直挿しした場合、音声はフルスケールで出力されるため大変危険です。
そう!!こういったDACは「ヘッドホンアンプとはまた別」なのですよ!
DACはさまざまな形式の「入力」に特化しているだけで、これのみで適切な「出力」を行えるわけではないのです。
最終的な出力の「受け」となるヘッドホンアンプへ送る必要があります。
それがBlueの下にあるZen CAN 3です。
CANはBlueからの出力を4.4mmバランスまたはRCAアンバランスで入力し、ヘッドホン・イヤホンで聴取するための “アンプ” となります。
2つの機種を見比べると、大きな違いは前面中央にボリュームノブがあるかないかということがわかりますね。
Blueには音量調整をする機能もなければ概念すらもありませんが(TXモードに限りボリュームの増減が可能)、CANはアナログの高品質な可変抵抗器により無段階で音量調整が可能になっています。
Blueはさまざまな音声信号を処理して4.4mmバランスかRCAアンバランス、もしくはBluetoothで出力するだけなんです。
音量はBlueからの受けであるヘッドホンアンプやワイヤレスイヤホン側で行う前提で設計されています。
BlueとCANをケーブルで接続し、CANの前面にある6.35mmアンバランスもしくは4.4mmバランスのヘッドホンかイヤホンで聴取することができます。
CANのボリュームノブは独立したアナログの可変抵抗器であり、よくある「ホストのマスター音量を上下させるやつ」とは大きく異なります。
アナログのボリューム制御のため「ギャングエラー」が避けられません。
そのためCANは公式に「ボリュームノブの位置を常に “11時以降” の角度となるように調整」するように推奨しています。
アナログのボリュームは絞れば絞るほどギャングエラーが悪化しやすく、ある程度の音量を保つことが欠かせません。
Blueの製品パッケージには電源(ACアダプター)とRCAケーブルとUSBケーブルが同梱されていてすぐにセットアップすることが可能です。
もっとも一般的なUSB接続はもちろん、Bluetoothでスマホでもノートパソコンでもワイヤレスでつなげられます。
むしろ付属されていないものに注目したほうがいいですね。
4.4mmバランスケーブルと光デジタル(同軸デジタル)ケーブルは付属されていません。
つまり理想的な運用には4.4mmバランスケーブルも追加で購入する必要があるということです。
4.4mmの両端がプラグ(オス-オス)となっているケーブルはまだまだ少数派なので選択の余地がほとんどなく、また想像以上に高価です。
RCA端子はLとRで分かれているのでバランス接続では…?
と思われるかもしれませんが…シングルエンドです。
USBオーディオではないのでACアダプターからの給電が必要です。
CANとは別のZen DACという商品はUSBオーディオです。
Zen CAN 3にはいくつか用意されているプリセットの中からEQを選択することができます。
XBass+、XSpace、ゲームモード、ムービーモード、よくわからないxMEMS。
ゲーミングオーディオのようにEQを編集したり追加したりする機能はありません。
これらのサウンドエフェクトを「音質を損なうことなく」アナログの回路で処理します。
XBass+とXSpaceは2つ同時に適用することも可能。
あ……たしかにこのEQはいいです……かなりいいい……これまでに聞いたことのあるデジタルデータに加えられた一般的なエフェクトと違って本当に自然に聞こえます。
XBass+の低音はかなりいいwwwwwwこれはハマるwwww
人生で初めてまともなEQを聞いたwwwwwwwwww
XSpaceはうっすらと音が広がって聞こえる「バーチャルサラウンド」のようなEQ。
露骨に位相をずらしたりエコーをかけたりするゴミと違い、本当にうっすらと音が広がるだけ。
さすがに「スピーカーで聞いているような」感覚はありません。
無響室で聞くスピーカーはこれに近い感じがするのかな……
BlueもCANもただの「ステレオ」しか扱えないので、5.1chのようなマルチチャンネルストリームを入出力することはできません。
ゲームモードは低音が引き締まり、中域がかなり控えめな印象で、残響感が減少し、比較的小さな音のみのエッジを際立たせて明瞭に聞こえます。
「トンネルに入ったときのような」耳がツーンとした感覚といえばわかりやすいでしょうか。
たしかにFPSゲームで足音や銃声の距離や方角を聞き分けるのによさそうです。
足音や遠方の爆発などの低音に限って「二段階に」迫ってくるような不思議な感覚がしますね。
Sound Blasterのスカウトモードのように大きく音量を変えるようなことは一切ありません。
ムービーモードはセリフにフォーカスしている感じですね。
BGMや効果音は引っ込んでいるように聞こえます。
ただ……いずれのモードも切り替える際にブツッ!!とかなり大きなノイズが聞こえるので注意が必要……
特にゲームモードへ切り替わるときのノイズがデカい。
セットアップの例としては、デスクトップPCの背面パネルからSPDIF(光デジタル)でBlueのINPUTへ入力し、左の電源ボタンを長押しして起動させ、左から2番目のボタンを短く押して「DAC」を選び、その右のボタンを短く押して「OPT」を選びます。
BlueとCANを4.4mmバランスケーブルで接続します。
CANの左のボタンを押して起動させ、その右のボタンを短く押して「3」を選び、ボリュームノブを左に回して音量を下げてから、ヘッドホンまたはイヤホンを6.35mm(3.5mmからの変換アダプターが付属されている)か4.4mmのジャックに挿します。
ヘッドホンアンプは非常に高出力なのでボリュームを最小にしてから操作を始めてください!
高感度なイヤホンを破壊してしまうほどのエネルギーがあります。
もちろん聴覚も危ないです!
バランスのイヤホンでは「音量がデカすぎて」調整に困る場合があるので、あえてアンバランスで接続するのも手ですよ。
試行錯誤というか好みで選びましょう。
……
Blue 3は曲の無音部分がほんの数秒続くとデバイスが省電力モードにすぐ切り替わるのか、「プツッ」と鳴って音声の出だしが途切れます。
何かしら信号が流れていれば途切れることはないのですが、本当に無音になる楽曲やホラーゲーム等の演出で無音になるシーンではかなり深刻な問題です……
普通のゲームでもマップの切り替わりやローディング中に少しでも無音になるとプツッと……。
非常に聞き苦しいです。どうしてこんな仕様なのか……何かモードを切り替える方法があるのでしょうか????
無音時のホワイトノイズ以前に、無音時になると聞こえるプツッというノイズが気になって仕方ありません。
いわゆる「USBオーディオ」としてのセットアップではないため、ホスト側の設定の問題でもありません。
たぶん仕様です。
2024年8月24日追記
Bluetooth(RXモード)の場合には音の出だしの途切れる問題が発生しません。
なんで無線のほうがまともなのか;;
しかしゲームをすれば明らかに遅延している(映像に対して音声が遅れる)のがわかるのでこれは無理かも。
PCとBluetooth接続するとAACでリンクされ、有線と比べれば話にならないくらい遅延している…120ms以上??
しかもコーデックを示すカラーが間違っている…どう見ても黄緑色(aptX Adaptive)なのに実際は黄色(AAC)…
Blue 3は24bitのオーディオストリームに対応しているはずなのに、USBでも16bitしか選択できません。
2024年8月26日追記
「無音状態がほんの数秒続いただけで音の出だしが途切れる問題」は、無音状態において真の無音になる(信号がなくなる)USBおよび光デジタルで入力している場合に発生することを突き止めました。
アナログRCAで入力すると問題が起こりません。RCAラインには小さなノイズが常時乗っているため、Blue 3は無音状態であると判定しないためです。
ゲーム用としてZen CAN 3を購入するのはどうかなのかといわれると……
無音部分で発生するプツッというノイズと、その後の音の出だしが途切れる問題があるうえ、CANには4.4mmバランスかRCAしか入力端子がなく、音質の劣化のない有力候補である光デジタルも受け付けず、USBオーディオとしても使用することができません。
PCの「ヘッドホンジャック」「LINE OUT」からCANへ接続するための3.5mmオーディオケーブルが別途必要になります。
ええ、CANはそもそも「DAC」ではないのです!!
アナログの入力しかできません。
CAN単体ではUSBオーディオとしては動作のさせようがありません。
PC側でDACの処理を行うのなら、音質はPCに搭載されているサウンドチップの能力に依存します。
それをZen CANで再生することで……はたして期待されるような「音質」が得られるかどうか……わからないです。
CANを買うとすれば4万円の出費です。大きいです。
Blueも買えばほぼ10万円に達しますし、4.4mm to 4.4mmバランスケーブルを追加すれば確実に10万円を超えます。
ほとんど趣味の領域です。
ちなみにSound BlasterX G5やG6と比較すると、音質は(私の耳で聞く限りは)まるで別物です。
筐体の発熱はG5の2.5倍くらいあります……天板を触るとかなりの熱が伝わってくる。
発熱が気になるかもしれませんが、筐体の外側が熱くなるのは “内部の熱がきちんと外側へ逃げている” ということなので心配は無用だそうです。
保冷剤などを使うと結露や熱収縮を起こして故障の原因になるのでやめましょう。
どうして発熱が大きくなるのかというと、安価なオーディオ機器では統合されたり省かれたりしている回路が、本格的な機器では独立して搭載されているために全体的な消費電力がどうしても高くなるからです。
特にアナログの設計に注力している製品は発熱が大きくなりがちで、統合されたICチップではなく個別のトランジスターや抵抗など多くのパーツで構成されていることから熱くなる傾向にあります。
音質はG6でもけっこうウォーム系の印象があったのですが、CANはクールな外見とは裏腹に暖かみというか膨らみが感じられます。熱膨張のようなwwwくまさん膨張www
よくいえば情報量が豊かでナチュラルでオーガニック。
悪くいえば音の粒があまり立っておらず、少しぼんやりしています。
およそ「デジタルのイメージ」とはかけ離れたサウンド。
単純にイメージの比較だけでもアナログの味が感じられます。
CAN 3には「ゲームモード」やFPSでの立ち回りを匂わせるプレスリリースも公開されていて気になっている人もいると思います。…いないかも?w
全体的な音は「素晴らしい」の一言ですが、ゲーミングオーディオのように一聴して「おおっ!」と思うようなエフェクトやEQではないので、それほど感動的なものではありません。
むしろ非常に「普通に」再生されます。あくまでオーディオ向きですからね。
CANの心髄は、“DSPではなくアナログで処理をかける” ところに集約されていると思います。
ぜひとも実機を試聴していただきたいのですが、CANのアナログEQは本当に自然で心地よく、どれを選んでも音源を破綻させることなく低音をブーストしたり空間を広げたりできます。
デジタルのEQは音源に手を加えるためどうしても結果が思わしくない場合が多いのですが、CANは信号の完全性を保ったままアナログコンポーネントで処理を行い、歪みと干渉を抑えた自然で滑らかなサウンドを再生できます。
エフェクトを加えているというより、ボタン一つで異なるヘッドホンアンプに切り替えているような印象です。
つまりこれ一台で5回おいしい♪
…しかしまぁEQを切り替える際に鳴るブツッというノイズの大きいこと;;;;
EQボタンを押すたびにXBass+→XSpace→XBass++XSpace→ゲーム→ムービーと一方向にしか切り替えられません。レスポンスも悪く、戻ることもできず、ノイズも大きい……
いろいろ不満が多く、価格が4万円とG6の2倍もするうえ、単体ではUSBオーディオとして機能せずACアダプターからの給電も必要とあってゲーム用に導入することは難しいと言わざるを得ません。
Zen BlueかZen DAC(または同様のDACと呼ばれる機材)と組み合わせることが前提のようなものなので、あっさり10万円コースになってしまいます。
「初めてちょっと本格的なオーディオシステムを考えている」という人にはいいでしょう。
オーディオの世界では “10万円で済むなら安い” からです。
「ZEN」シリーズはオーディオのエントリークラスとして利用者の多い機種のため、モデルの世代による違いはあってもそれなりに「リファレンス」とみなしてもいいサウンドだと思います。
それでもSound BlasterX G6に対してどれだけアドバンテージがあるか………
あ! 気になる遅延ですがまったく感じられません!
こんなふうにDACとアンプという2台の機械をケーブルでつなげるなんて遅延が大きくなりそうに思われるかもしれませんが、光デジタルで接続したG6よりもむしろ遅延が短く感じるくらいですよ!!
……で。
ゲーム用として使うならFPSの定位や索敵はどうなのよ!!??
さっさと教えろよ!!
この最大にして最終の「結論」を最初に書こうと思っていたのですが……あえて最後に。
FPSで有利になるなら10万でも20万でも惜しまないゾ!
というスーパーウルトラハイパワーゲーマーもいると思うので…………いる…?
少なくとも私の耳で聞いた限りでは。
iFi audio ZEN Blue 3とZEN CAN 3の組み合わせでPCのオンボードサウンドからSPDIFソースで入力したゲーム実況をSeeAudio 麻婆豆腐で聞いた限りでは。
………
冗談かと思うくらい桁違いによく聞こえるわ…
これはクロストークとかホワイトノイズとか音場といったものをまったく理解していなくても、CANの「アナログボリュームノブ」が音量を無段階に調整できるところが大きい。
ボリューム制御が完全なアナログなので、音量を絞ればホワイトノイズは聞こえなくなり、音量を上げるにつれて聞こえるようになる。
しかしどうやら「ホワイトノイズ」自体は定位に影響を与えていないようなのだ…。
真のアナログコントローラーは無段階に調整できるため、任意の音量で自分の聴覚に “ジャストフィット” する位置がある。
それを把握すると信じられないくらい音場が最適化され、「壁越しに音の座標がわかる」というか、見えないものを音だけで見ているような感覚にさえ陥る。
今までデジタル重視やコンパクト・汎用なオーディオ機器でしか聞いた経験がなかったのもあって、Zen BlueとCANでゲームをプレイするのは本当に未知の領域。
デジタルでは固定ステップでしか音量を調整することができない。
(ただそれだけの違いかもしれないが)
こだわる人は “ゲーミングオーディオ” に10万どころか100万円以上投資しているかもしれません。
ゲーミングDAC、ゲーミングアンプ、ゲーミングヘッドセットにイヤホン、オーディオインターフェース、マイク、ストリームミキサー、ビデオキャプチャー……
ゲーム機やゲームソフト代以上にお金を使っている人もいるでしょう。
BlueとCANが「あり」か「なし」かといわれると………
これまでゲーミングオーディオに10万円以上つぎ込んできた人なら「あり」です。
手持ちの機材を売却した資金でBlueとCANに乗り換えてしまってもいい…かも…しれません。
私が終始引っかかる言い方をするのは、実機を試聴してもらいたいからです。
このように買わなくても試聴からわかることが山ほどあります。
“オーディオはオカルト” と一蹴する前に試聴してみてねw
もうそれ自体がオカルトといわれてしまうかもしれませんけどwwwwwwww
いやー……
とにかくZen Blue 3は無音時にすぐ途切れる問題さえなければ最高にいいんだけどな!!
待てよ……
“あえてBluetoothオーディオ” で戦うゲーマーとして切り替えていくのもありなのか?
……
そうかもしれない……
無線はクソ!ありえない!ゲームは有線一択!!
なんていうのがもうすでに老害かも。きっとそうだ。
なにしろ技術的には有線よりワイヤレスのほうがはるかに進んでいるわけだし、新しいオーディオデバイスには積極的に採用されている現状がある。
マウスやキーボードだってそれで進化してきた。
今さら「有線の電話機」に戻れますか??無理でしょ??
スマホがずっと電話線につながっているのを考えてみてくださいwww
たぶんBluetoothの遅延にもそのうち慣れるし、今後さらに低遅延の規格が生まれます。
本当にゲームの上手い人は環境やデバイスを選ばないと思いますよ。
むしろどんどん新しい道具を使ったり、実際に使用したフィードバックから改良へつなげたり、多くのユーザーに普及させたりするほうが “建設的” だと気づくはずです!
私もそうなろう!!!!!!!!!!!
今すぐ!
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