両方の値から算出される「空気が持っている熱量」を求めたほうがいいと思うんだよね。
同じ25℃でも湿度30%と80%ではまっっっっったく違うから……
水蒸気はもっとも身近で強力な温室効果ガスであるといっても過言ではなく、気温ととても密接な関係にある。
初めから湿度が高い環境では液体の水が蒸発しにくいので、気化熱による冷却効果が得られなくなる。
もうすでに膨大な量の水蒸気がそこに存在しているため、空気自体の熱量が大きく、「蒸し暑い」と感じる。
飽和水蒸気量に達している場合、水を蒸発させるためには気温を上げるしかなくなる。
「25℃で熱中症になるのは奇妙だ」という人がいるが、湿度が高ければ汗が蒸発しにくくなるため、体温を下げる働きが失われて倒れることはある。
気温にばかり注目し、湿度の影響を無視することは非常に危険だ。
多湿の環境では気温がとても下がりにくい。
たとえば乾燥している砂漠地域は熱を保持するものが少ないため、日中は急激に気温が上昇するが、夜には急激に冷え込むということが起こる。
ところがあまりにも湿潤している真夏の日本は砂漠とは事情が違う。
膨大な量の水蒸気が熱を蓄えているため、夜になっても気温が下がらないのだ。
しかもあまり風が吹かず、湿った空気がいつまでも停滞する。
それで水蒸気を運び去る風が吹かない日本の夏はとにかく蒸し暑くなる。
だから「打ち水」には効果がないというか、そもそも日本の夏は打ち水の効果が期待できるような条件ではないということがわかる。
ぶっちゃけていえば、打ち水やドライミストの働きは、気温を少し下げる代わりにそれと同じ熱量を持った水蒸気を発生させているだけなのだ。
打ち水をした空間の熱の総量が減少しているわけでは決してない。
風がまともに吹かず、強い高気圧に押さえつけられているせいで熱が運び去られないのだ。
だから熱が水蒸気に置き換えられているだけ……と考えてほしい。
地上の人間が活動する範囲の熱は滞り、なかなか逃げていかないものである。
では熱量が減少するのはどういう場合なのだろうか。
打ち水で発生した水蒸気が上昇し、上空で冷やされて雲が形成される際に「凝縮熱」という気化熱とは逆の熱が発生し、それが雲の表面から宇宙空間へ向けて「輻射」という形で放熱される現象が起こる。
さらに雲自体が太陽の光を反射し、地上が温められるのを防ぎ、熱を宇宙空間へ逃している。
つまり真夏に積乱雲が発達するのは「冷却」の観点から非常に重要といえる。
積乱雲や台風というのは地球の冷却装置といってもいい。
真夏の晴れた日に家の外で打ち水をすると、水蒸気がどんどん室内に入ってきて湿度が上昇する。
この状態でクーラーをつけても非常に効きが悪くなる。
まず膨大な水蒸気を「除湿」しないことには冷房がまるっきり働かないためだ。
そのためにクーラーをよりハイパワーで運転しなければならなくなる。
……とにかく、気温よりも湿度を考える必要がある。
温暖化対策を議論するなら湿度を無視するわけにはいかない。
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