2024/05/25

サーキュレーターそのものは冷房にもならないし除湿もできない

何度も書いていますが…サーキュレーターは空気を移動させたり循環させたりする働きしかせず、その場から熱を奪ったり除湿したりする能力はありません。

密室で何台ものサーキュレーターを送風させて「涼んで」も、それを動作させるための電気による排熱によって気温は上昇します。



…なんというかw

風を当て続ければ無限に冷却できると勘違いしている人が多いのかもしれませんねw

その「熱」は風に乗って周囲に拡散されていくだけで、熱そのものが減少したり消滅したりするわけではないというところが肝心です。

わかりやすいのは「オーブントースターの中」を想像することでしょうか。

加熱しているオーブンの中で風を発生させても冷却にはならないですよね。
密閉された容器の中でいくら空気を循環したって「温度分布が均一に近づく」だけで、発生している熱量を減少させたり温度を下げたりすることはできません。
むしろ熱のむらがなくなることで料理が上手く焼ける……そういう効果があります。

オーブンを冷やす、というか温度を下げたければ扉を開ける、もしくは電源を切るしかないのです。

電源を切れば扉が閉まっていても温度が下がっていくのは、熱というのは空気(対流)だけでなくオーブンの筐体を伝わって外へ逃げていく(伝導)性質があるからです。
ついでにいうと真空中でも熱が移動するのは「輻射」によるものです。


扉を開けたうえで風を発生させれば温度は下がりやすくなります。
それと同じ構造なのが「ドライヤー」です。
ドライヤーは筒の中にヒーターがあってファンで送風することでその熱を外へ放出しています。

もしドライヤーの前後をふさいでしまうと……あっという間に過熱し発火する恐れがあります。
温められた空気の逃げ場がなく、ドライヤーの内部が一気に高温になるためです。


それで話をサーキュレーターに戻すと。

密室でいくら送風しても気温を下げることはできないのがわかるでしょう。

屋外の気温が低ければ窓を開けることで部屋を涼しくできますが、外のほうが暑ければ逆に外の熱を取り込むことになって気温が上昇してしまいます。


じゃあどうすればいいんだよ!?


窓を閉めて(断熱)、エアコンの冷房を使用してください。

エアコンはヒートポンプという仕組みにより、室内機と室外機を循環する「冷媒」が非常に効率よく熱を移動させることができます。
エアコンは実は「室外機が本体」のようなもので、室外機のコンプレッサーが冷媒を圧縮する際に「凝縮熱」を外へ放出し、液体となった冷媒が室内機で再び気体へ戻る際の「気化熱」が部屋の熱を奪い取ることで温度を下げる働きをします。

だから部屋の外のほうが暑くても、部屋の中の熱を外へ逃がすことが可能なのです。

部屋は涼しくなりますが、そこから奪われた熱は室外機から外へ放出されます。

じゃあ外はどんどん暑くなっていくの…!?

まぁそういうことですw

ただし「部屋」と「外」の空間は桁違いです。
狭い部屋の気温は大きく変動しますが、非常に広い外の気温はわずかしか変わりません。
空気の容量があまりにも違います。

とにかく地球上の熱というのは最終的に宇宙空間へ輻射の形で放熱される流れがあり、熱くなりすぎないようになっています。


サーキュレーターは冷房にもならないし、除湿や乾燥にも無理があります。

「湿った空気を移動させる」ことはできても、「湿気を取り除く」ことはできません。

除湿器が必要です。

コンプレッサー式の除湿器のメカニズムはエアコンとほとんど変わりません。
ただ室内機と室外機が一体化しているような構造のため、エアコンと違って室温を上昇させてしまう問題があります。

除湿器は圧縮された冷媒が再び気体へ戻る際の気化熱によって冷えた冷却器の表面で空気中の水蒸気を「結露」させ、その水を集めてタンクへ回収することで部屋の湿度を下げる仕組みになっています。

…サーキュレーターは風を送るだけです。除湿なんてできません。

洗濯物に風を当てれば蒸発しやすくなりますが、その水蒸気は部屋の湿度を上昇させます。
屋外の湿度のほうが低ければ、窓を開けてやればいいのですが、梅雨時の場合はそうもいきません。
窓からどんどん水蒸気が入ってきて、やがて外の湿度と同じになってしまいます。

除湿器を使ってください。


サーキュレーターの風が当たっている部分は乾きやすくはなりますが、ただそこから水蒸気の形で周りに拡散しているだけだというのを忘れてはいけません。
意地悪な見方をすると、除湿どころかかえって部屋の湿度を高めることになっているのです。

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