2024/07/22

Kinera Freya 2.0 LTDは「音楽のながら聴き」に最適!透明感や空気感の正体は…

私が以前購入した「Kinera Freya」がたまたまハズレ個体だったのかもしれませんが、Freya 2.0 LTDはサウンドのチューニングコンセプトがはっきりとしています。

イヤホンの2作目というより別物のように聞こえます。

映画やゲームの1と2が違いすぎるタイトルみたいな感じですw


Freyaはウォーム系で大人しく素直に鳴っている印象ですが、Freya 2.0 LTDは一転…!

クールでもウォームでもないニュートラル…いや違う、神話に出てくる高尚な神々が人類を見るときの目というか、干渉しない・影響を与えない意志を感じます。

中高域の透明感や空気感というのは音響的な表現ではなく、“空気のような存在” という意味です。

Freya 2.0 LTDで聞いていると本当に空気……

音楽に傾聴したり分析的に耳を傾けたりする感じがしないのです。
田舎で青空のもとに鳴り響く町内放送……というのは言い過ぎか。


音楽のながら聴き……BGMとして音楽を垂れ流しにするイヤホンとしてこれ以上のものはないのではないでしょうか!


「聞き疲れ」とは無縁であり、モニターイヤホンのように音を1つ1つ追うという感覚がまるでありません。
音楽を「聴く」ことがメインではなく、聞きながら何かをするのに最適です。


おそらく多くの人がイメージする「空気感」や「透明感」とはかけ離れていると思います!
それを期待していると完全にあてが外れてがっかりするでしょう…!



Freya 2.0 LTDのすごいところは、ボリュームをかなり上げても高域の刺さりや低域の圧迫感が皆無といってもいいくらい “ない” ことです。

これはイヤホンのポテンシャルがきわめて高く、再生機器(DAP等)やリケーブルによって化ける可能性を秘めているということを示唆しています。

前作Freyaはボリュームを上げていくと高域の刺さりや低域のひずみ(びびり)が気になるところがありました。
イヤホンの持つ潜在的な能力が低いので高性能なDACやアンプを生かしきれません。
逆に言えば、エントリークラスのスマホやPCのオンボードサウンドでも十分だということ。

Freya 2.0 LTDはそういった “制約” がなく伸びしろが大きいので、私には別物のように感じられます。
前作と違ってプラグが交換式であり、4.4mmバランスに対応できる仕様になっていることから、高出力のアンプを使用する想定になっているのでしょう。


映画やビデオゲームのサウンドは編集の悪い音源が多く、ダイナミックレンジに問題があって「特定のBGMがデカすぎる」といったトラブルがよくあります。

たとえばマビノギの「マグメル」のBGMは本来は素朴で可愛らしい曲のはずなのに、これまではどんなヘッドホン・イヤホンでもキンキン響いてしょうがなかったです。
おかげでマグメルを訪れると、フィオナトの隣で一定のリズムで羽ばたく鳥の音と相まって「トランス状態に入るww」ような変な感覚に陥っていました。

しかしそれをFreya 2.0 LTDで聞くと……

ああ!

これが空気感の正体か。


耳にまとわりつくメロディーから解放され、初めて「普通に」聞くことができました。


こういうタイプのイヤホンってなかなかないと思いますよ!!

だいたい音域のどこかが主張したり引っ込んだりして抑揚というかメリハリというか波を感じるものなんですけど、Freya 2.0 LTDは垂れ流しにしていても音楽が「ホワイトノイズ的」な属性になって意識から外れていきます。

そう!

「透明感」とか「空気感」というのは音響的な表現ではなく、「物理的に見えない」──その存在を認識することができないという意味なんです!

透明なものは見えないし、空気も見えませんよね。


かといって「真空」や「虚無」ではありません!

「ボリュームを上げてもうるさくない」というのはとても重要です。
多くのイヤホンは「うるさければ素直にボリュームを下げるしかない」のですが、Freya 2.0 LTDはとにかく「刺さらない」ので大音量で再生できる──つまり再生デバイスの性能をよく発揮できるのが最大の魅力です。


Freya 2.0 LTDはどちらかといえば「クール系」に聞こえるんですが、決して冷たいわけではなく、感情がないわけでもなく、元気があるわけでもなく……
低音は前作に比べればはるかによく出ています。

どう聞こえるのかと耳を傾けているうちに空気のようになってしまいます。

「聴覚過敏」の人が騒音をマスクするのに最適なイヤホンといえそうです。


前作はステムが太すぎ&返しがなさすぎてイヤーピースを取り付けづらく、脱落しやすい困った問題がありましたが、Freya 2.0 LTDは改良されていてスムーズにはめ込めます。
これならどんなイヤーピースでも難なく取り付けられそうです!

イヤホンの筐体サイズも前作より30%も小型化されており、コストダウンされ…ているのかと思いきや付属品が充実していて全体としては値上がりしています。

Freya 2.0 LTDのフェイスプレートは写真では鮮やかな水色に見えますが、実物は白っぽくてかなり違う……試聴機を見た段階で「アレッ?」って感じました。
付属ケーブルは大幅にアップグレードされていますが、イヤホン本体の色が薄く、半透明の樹脂が経年劣化しているように見えることから、外見のクオリティーは低下している印象を受けます。
六角形が印象的なパッケージの化粧箱もインクをケチったのか色あせているように見える…

イヤーピースは11種類も付属されています。

モノが悪いから付属品でごまかしている感の否めないところではあります……


同じ価格帯のQoA Adonis Newqdc Hybrid Uranus-Sと迷っていました。
Adonisの「ふくよかな低音」は素晴らしいです。一聴して気に入りました。装着感も快適。
しかし聞き疲れを起こしそうな音作りでもあり、ちょっと解像度が足りないかな…。

Uranusは見た目は好みだったけど装着感が悪かった。だいぶ耳の形に合っていない;

GEEK WOLD GK100は多ドライバーで安価なイヤホン。かなり空間表現が好みです。

めりめりの愛機qdc SUPERIORはとても元気のいい音作りですね。

QoA Aviationの空間の広さが桁違いに素晴らしい。本当はこれがよかったんですが在庫切れw
これは絶対FPS向きだと思う!


Freya 2.0 LTDはゲーム向きではないわけではないのですが、ボリュームに寛容なのでホラーゲームの恐怖が増します。
強い空気感と透明感のため、1つの物音を慎重に追いかけるには訓練が必要です。

ボリュームを上げても低域の圧迫感と高域の刺さりがないため、ある程度の音量だとイヤホンで聞いていることを忘れてしまうほど。

個人差があると思いますが、「映画のスクリーンの前で聞いている」「実際の現場にいるような感覚」に肉迫しています。

「サラウンド感」はまったくなく、音場が狭いのか広いのかもわからないほど “自然” な聞こえ方をする大変不思議なイヤホンです。

音源をいじったりエフェクトをかけたりするバーチャルサラウンドとは決定的に違います。

そういう処理をされた映像をこのイヤホンで視聴すると、「加工されたサウンドを空気のように聞く」ことになります。
バーチャルサラウンドや立体音響のエフェクトと相性がいいかもしれません。
イコライザー、バス・トレブルブースト、バーチャルサラウンド等が(いい意味で)違和感のない聞こえ方になるため、ゲーミングオーディオとして装着感と遮音性と聞き疲れしないイヤホンの選択候補に入れてもよさそうです。

「ゲーム用にあえてイヤホンを選ぶ」人は多くなく、たいていは「ゲーミングイヤホンと銘打たれた商品を買い求める」ものなので、意外とイヤホンのゲーム向けのレビューは少ないんですよね。
物好きな人が調べているからそのような情報を目にする機会が多いというだけで、レビュー全体としてはほんのわずかしかありません。

またゲーム向けのレビューがあったとしても “ついでに” 言及している程度で、掘り下げた使用感や評価にはほど遠いものがあります。
それこそ誰かの受け売りだったり、当たり障りのない無難な意見しか書いていなかったり、商品提供による “提灯記事” だったりと信頼性に欠けます。


Freya 2.0 LTDのチューニングコンセプトには「リニアリティーが高く、抜けのよさやスケール感のある心地よい音場」とあります。
リニアリティーとは「直線性」のことで、入力と出力が素直に比例するという意味です。
リアリティーとは違います。リニアリティーです。

ボリュームに対する寛容さとリニアリティーが(私の手持ちのイヤホンと比べて)段違いに優れていて、高域の刺さりや低域のひずみがほとんど感じられません。


現実世界で普通に聞こえてくる音に関しては「音に包まれる」という意識を持つことはありませんが、イヤホンやバーチャルサラウンドではしばしば「音に包まれるようだ」と表現されます。

Freya 2.0 LTDはそれとは違って……

音に包まれているのかと問われれば、音の外側にいるようだ……と答えます。

この感覚が伝わるでしょうか。
説明が難しい……


レビューでよくある「ボーカルが前に出てくる」とか「バスドラムが引っ込む」といった感想は絶対的なものではなく、聴者それぞれによって異なる声や楽器の好み、関心の度合いによって大きく変わってきます。

Freya 2.0 LTDは「私には」あらゆる音が耳に張り付かずに外側で鳴っているように聞こえます。

それが何度も言うように「BGMとして最適」とか「聞き疲れしない」という評価につながる理由です。
前作Freyaとの共通点を見つけることのほうが難しい……これはもう別物としか思えません。

筐体が30%も小さくなっていますが、装着感は前作と同じようにきわめて良好。

Freyaの名前と装着感以外はもはや別のイヤホン。

FreyaもFreya2.0 LTDも伝統的なハンドメイドにこだわって制作されており、3Dプリンターで出力された量産品とは趣向が異なっています。
“お値段以上の外観” ではあるかもしれませんが、価格に見合った音質やチューニングであるかはわかりません

とにかくFreya2.0 LTDは特にゲーム向けのイヤホンではないように感じました。
ゲームのサントラを聴き込むには向いているかもしれませんが、FPSで有利になれるかといわれると微妙。

Freyaは1DDと3BAの “ハイブリッド型” であり各周波数のつながりを上手く調整されてはいるのですが、4BAのSeeAudio Bravery24に比べるとどうしても見劣り(聞き劣り?)しています。
Bravery24は低域をBAドライバー2基で鳴らし、全体として非常に透明感の高い仕上がりとなっています。Freyaと比べて解像度が2ランクくらい高く、ゲーム中に効果音とボイスラインが飛び交う場面での聞き分けが天と地ほども違う……

Freya2.0 LTDに3万円を払うくらいなら2万円超追加してBravery24を買ったほうが絶対によさそう。私はそう感じます。
Bravery24ならゲームだけでなくリスニングにもモニタリングにも十分使えますよ。



イヤホンの音質はある程度の価格で頭打ちになっていて、それ以上は味付けや素材や製法による違いになってくると思います。宝石をあしらったりレアメタルを採用したり。

価格の高い腕時計が安物より正確な時刻を示すわけではないのと同じで、高価なイヤホンが必ずしも優れているのではありません。

ダイアモンドは800℃に熱すると燃えてしまうことを忘れないでください。

ベンチマークでハイスコアを叩き出しても、実際の運用では大したことがない製品はたくさんあります。
「大好評」「反響を呼んだ」「ベストセラー」などの文言は “公式が言ってるだけ” ということが多いんですよ。



Kineraというメーカーには “Kinera Imperial” という超ウルトラハイエンド価格のラインがあるのですが、そちらはまったく試聴していません…

うかつに高価なイヤホンを聞くと、エントリーからミドルレンジまでのイヤホンの視聴にめちゃくちゃ影響してしまうからです。

5万円…いや10万円を超えたあたりからイヤホンは「音質」よりも、そのメーカーの思想や独自のコンセプトの色合いが強くなる傾向があり、「音質がいいのは当たり前」で、「それ+α」が焦点になってきます。

悪い言い方をすると、「値段が高い」ということから音質や感覚が心理的に誘導されてしまうのです。

私はそれでは正しい判断ができなくなるから、価格と商品名を伏せたブラインド検査をしたほうがいいと考えています。
先入観や結果ありきの評価ほどあてにならないものはありません。

そもそもイヤホンはどの機種や再生環境を基準とするかによって評価が変わってきます。

リファレンスとなる組み合わせや聴者の好みが違っていれば結果も違う。
信頼や実績といった積み重ねが通用しない、「主観」に左右される分野です。


1,000円のイヤホンを100,000円といって被験者に聞かせると、本当に10万円の音質だと勘違いするものなんですよ。

そんなレビューに意味があると思いますか?

有償・無償を問わず商品提供されて浮かれ立っているレビューにどれだけの信憑性があるのでしょうか?


……他人の意見など話半分に聞いておき、自分の耳で実際に聞いて判断するようにしてください。

私を含めて「他人の好みや趣向」など参考にすらならないことがほとんどです。
他人のレビューを見て自分の評価を変えるなんておかしいと思いませんかwww


自分自身で判断できない意志の弱い人を食い物にするビジネスに気をつけましょう。


0 件のコメント:

コメントを投稿