2023/07/07

「FPS向きのイヤホン」に明確な基準や特定の機種があるわけではないが、(経験上)ヘッドホンは不利だといえる

ヘッドホンは夏場に蒸れやすく、装着感の個人差が大きいうえに端子の接触不良などのトラブルが多いです。
どのような製品を選んでも不満が出てくるものなので、総合的な満足度が低くなる傾向にあります。

それで音質について語る以前に「まともに使用できるかわからない」問題に直面するため、私は経験上ヘッドホンやゲーミングヘッドセットをおすすめしていません

結論からいうと、遮音性の高いIEM(インナーイヤーモニター)とUSBコンデンサーマイクの組み合わせがもっともおすすめです。
いろいろなヘッドセットやDAC、アンプ、オーディオインターフェース等を試すための予算と時間は本当に無駄になりやすく、「遠回りは結局遠回り」に陥ることがほとんど。


イヤホンは外耳道に挿入することから遮音性に優れていて外来の騒音を抑えるため、ボリュームを上げなくても聞き取りやすい利点があります。

イヤホンは鼓膜に近いから耳に悪い!」と思っている人がいますが、スピーカーのほうがより大きな音量にさらされることが多いという現実を知ったほうがいいでしょう。
防音室でない限りスピーカーの構造では外来のノイズを抑えることができないため、最終的に鼓膜に到達する音はイヤホンより大きくなってしまうのです。

イヤホンはそれ自体が高い遮音性を持っていて、周りの騒音を軽減し、手軽に快適な視聴環境を提供します。

ヘッドホンは耳の穴ではなく外側を覆う構造上、イヤホンに比べて遮音性で劣ります。
周りの頭髪を剃って密着させたとしても、“耳栓” のような遮音効果を得ることは難しいです。
しかも夏場は蒸れやすく、汗や皮脂で汚れたり臭ったりする問題があります。

まず、誰しもが「完全な防音と快適な空調の整った環境で暮らしているわけではない」ということが肝心です

音響的に不利な生活環境であればあるほど遮音性の高いイヤホンが有利になります。

もちろんイヤホンも万能ではありません。
カビや雑菌によって耳に炎症を起こすことが知られています。

これもまた個人差や体質によるのですが、耳の穴が汚れやすい人は特に注意が必要です。

イヤホン全体の定期的なクリーニングが欠かせません。
本体を清潔な布で拭き取って、シリコーン製のイヤーピースはときどき綿棒をくぐらせて掃除し、食器用洗剤で洗ってよく乾かすことで衛生的に使用できます。

そもそも “イヤーピースは消耗品” であり、いつまでも使い続けられる仕様にはなっていません。
経年劣化してひび割れたり裂けたりしたら寿命です。
黄ばんだり透明感が失われたりしたら買い換えましょう。
洗剤で洗っても「べとつき」が取れなくなったら換えどきです。


私はイヤホンを推していますが、決してヘッドホンやスピーカーを否定しているのではありません。

実際に使ってみて装着感の好みが分かれることが明確で、接触不良、左右の音量バランスの悪いものが多かったのと、スピーカーは単純に設置場所と近隣への騒音問題が解決しないためです。

これらの問題を解決するにはあまりにも時間がかかるというか、素直にイヤホンを選んだほうが早いからイヤホンを推しているのが本当のところです。

ゲーミングデバイスメーカーはヘッドホンやスピーカーのラインナップが大半で、特にイヤホンに注力しているわけではないのが現実。

そんな中、ここ数年でイヤホンは驚くほど進化を遂げています。
ワイヤレスの性能やバッテリー寿命の向上もさることながら、小さな筐体に複数のドライバーを搭載して音響に深みやメリハリをもたせるといった技術の進歩は著しいものがあります。
ケーブルを交換して周波数特性やビジュアルの変化を楽しむことまでできます。

多くの人の耳に合うように設計された「ユニバーサルデザイン」と呼ばれるIEMは特におすすめ。


この世にFPS向きのイヤホンというのが存在しているのかはさておき、多くの利用者の体験談・使用感・レビューなどを突き詰めていくと、特定の製品にたどり着くのではなく、どれでもいい・自分の好きなものが適しているというのが限りなく正解に近いというか、妥当な判断であると考えられます。

Aがいいと言う人がいれば、Bがいいと言う人もおり、CやDの評価も高い──。

たとえば365人の「地震学者」が1年365日の異なる日付で予言を行えば、そのうちのいくつかは必ず当たるわけです。
たまたま地震を当てた預言者に根も葉もない信頼を寄せて、事実でないことが事実であるかのように扱われ、収拾がつかなくなる……。


イヤホンに限らずオーディオの世界には明確な「答え」がなく、「各自の好みの問題」に収束します。

聴覚や味覚には個人差があって、音楽の趣向や料理の好みが千差万別であるのと同様、絶対的な正解を導き出せないあいまいな次元なのです。


総合的にみて、遮音性が高くて装着感のいいイヤホンを選ぶのが一番いいというのがもっとも有力な答えです。

音質やブランドを引き合いに出すといつまでたっても決まらなくなります。
それはイヤホンの選び方において重要ではないからです。

お気に入りのイヤホンは聴いているうちに好きな音質になる。

限りなく正解に近い答えではないでしょうか。

自分の「お気に入り」は先入観、気分、体調、他者からの評判の影響を受けにくい、とても大切な基準になるのです。

最終的な判断は自分自身。






IEMとしては珍しくもなんともないRazer Morayがようやく出てきました。

私は何年も前から「ゲームこそヘッドホンよりイヤホン」と主張してきましたが、はたしてこれは……

まぁレビューを見る限りでは価格に見合ったイヤホンではなさそう。
Razerが好きな人でない限り、これを選ぶメリットは……

Morayの半額で買えるTruthear HEXAのほうがシンプルで良さそう。
HEXAは私もお気に入りです。

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