2019/08/13

35℃以上では腹筋も原則禁止…打ち水もやめよう

こんなスーパーウルトラメガ熱い日に強行したら
腹筋を回収する特殊清掃業者や特殊作戦部隊に迷惑がかかります。
気温もそうですが湿度も警戒してください……
打ち水もやめましょう。中止というか禁止……
打ち水なんてやらないほうがよかったんです。

打ち水で下がった気温──奪われた熱は水蒸気という形でたっぷりと蓄えられ、
飽和し、気温が低下すると結露して凝縮熱を放出する……

「夕方に打ち水をすれば効果的」

これはだめです。半分ウソのような話だからです。

打ち水なんかしなくたって夜から明け方にかけては気温が下がります。
そこへわざわざ打ち水によって大量の水蒸気を発生させると、
凝縮熱によって蒸し風呂のような状態が続いてしまうのです。

実際、打ち水をしない場合は未明から早朝にかけてもっとも過ごしやすい条件になりますが、
夕方に水浸しになるまで打ち水をした場合は……

涼しくなるはずの夜明け前ですら蒸し暑いままでした。


一体どうして、かえって蒸し暑さが続く打ち水などという文化が生まれたのでしょうか……

意図的に蒸し暑くすれば、かき氷やビールなどが売れるからでしょうか????

(´ヘ`;)ハァ……なんでこんなに暑いんだ……


水を入れたヤカンを火にかけると、ずっと加熱しているのに約100℃で止まってしまいます。
200℃にも300℃にもなりそうなものですが、100℃で止まります。
この「温度の上限」のような振る舞いをするものこそが気化熱の正体なのです。

水が100℃を超えないのは、「沸騰」することに熱が消費されているためです。
加熱の超過分のエネルギーが蓄えられている……と考えればわかりやすいでしょう。
気体の水…「水蒸気」にはそれほど大きなエネルギーが潜在しているわけです。

水は100℃で蒸発するわけではありません。これは「沸騰」する温度を表しています。

水が空気と触れる面では常に蒸発が起こっています。
(沸騰は水の内部からも蒸発が起こる現象です)

打ち水はまいた水が蒸発する際に周辺から気化熱を奪うことで気温が下がる効果を狙っています。

しかし実際には熱が水蒸気の姿に変わっただけで「消えた」わけではありません。
水蒸気を結露させ再び液体の水に戻せば、また同じだけの熱が発生する……ということです。

積乱雲をイメージしてください。
上空1万m以上にも達する巨大な対流雲です。
雲の正体は水蒸気が上空で冷やされ結露して細かい水滴になったものの集まりです。
……
水蒸気が結露したものですから、雲は非常に大きなエネルギーを持っていることになります。
台風のような巨大な雲には原爆の数千~数万個分ものエネルギーがあるため、
常識的な手段で台風を制御することは不可能です。

……じゃあ積乱雲はめちゃくちゃ熱いのか!?

いいえ……積乱雲は非常によくできた冷却システムになっています。
水蒸気が膨大な熱を持っているとはいえ、上空は気温が低いため水滴の一部は冷やされ氷になっているのと、
積乱雲のさらに上空……つまり宇宙空間に向けて赤外線の形で放射されているというものがあります。
さらに積乱雲自体が太陽光を反射し、これも宇宙空間に放熱しています。

しかし地上ではそんなに都合よくいきません。

打ち水で発生した水蒸気はその場に長くとどまり、周辺を長時間にわたって蒸し風呂状態にします。
皮肉なことに、気温が下がると水蒸気が熱を放出してしまいます。
空気が乾燥していればすんなり温度が下がるのに、湿っているからなかなか下がりません。

そう……水蒸気は地上においてはとんでもない温室効果ガスになっているのです。




バカの一つ覚えのように毎晩やっていた打ち水をやめたら、朝まで涼しくなりましたよ………


細いノズルから勢いよく霧を噴射する「ミスト」の装置がありますが、やめたほうがいいかもしれません。
同じ量の水でも、ただの「水たまり」と「霧」では空気に触れる面積が大きく異なり、
後者のほうが表面積が広く、蒸発が早く、時間あたりに発生する水蒸気が多くなります。

霧が蒸発する際に周辺から気化熱を奪うため気温(地温)が下がります。
しかしその奪った熱は水蒸気に蓄えられているだけなのです……
冷めにくい空気を次から次へと生み出すようなものであり、
汗をかいても蒸発しにくくなり、本当に必要な気化熱が働かなくなってしまいます。

冷えた冷えた!!涼しくなった!!打ち水サイコー!!ミストサイコー!!

と喜んでいる場合ではありません。
部屋が多湿になると蒸し暑いだけでなくカビも繁殖しやすくなるし、
洗濯物も乾きにくく、悪臭を放ち、不衛生な環境になります。


発生した水蒸気から完全に離れたところで活動するか、「除湿」できるなら打ち水にも効果がありますが、
ただ水を垂れ流しにしたり、延々と霧を発生させ続けたりするのは逆効果です。

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