「ゲームごときに高級キーボードなんか必要ないだろ…」
そう思っていた時代がありました。
しかし実際にはゲームのほうが、文字入力や計算といった用途よりも
キーを押しっぱなしにする機会が多く、
キーの構造や重さ、材質などの指に与える影響が大きいのです。
一般的な用途でも、Shiftを押したまま英字を直接入力したり、
Controlと組み合わせたショートカットキーは使います。
それでもゲームにあるような、キーを押し続けてキャラクターの移動、
同時に複数のキーを押してジャンプ・しゃがみ・武器を構える、といった
操作は通常の文書作成などではほとんどありません。
低価格を重視した大量生産のキーボードもあれば、
タイピングや押しっぱなしのために特別に設計されたキーボードもあり、
1000円でお釣りのくるものから2万円を超えるものまでさまざまです。
ただマビノギに関していえば「キーを押しっぱなしにする」機会は多くなく、
ブレイズ、チャージングフィスト、狂乱の疾走といった一部のスキルや、
魔法や錬金術のオートチャージング、飛行ペットの移動があるくらいです。
地上での操作はほとんどマウスででき、歩くためにShift、
敵をターゲットするためのControlを押し続けることがある程度で、
スキルの発動や攻撃もキーを一瞬押すかマウスのクリックで行われます。
「キーを押しっぱなしにする」機会の多いゲームほど、
キーの重さ(押下圧)や荷重曲線の違いを実感できるようになります。
たとえばFPSなどは基本的にWASDキーで前後左右に移動し、
Spaceキーがジャンプだったり、押し続けてダッシュやしゃがみアクションだったりと、
文書作成ではありえない使い方をする仕様になっています。
ダッシュ中に回復アイテムを使用したり、武器の選択をしたり、
しゃがんで物陰に隠れた状態で周囲を見回したりと、
同時にキーを押す、あるいは押したままにする機会が多くあります。
同時に入力可能なキーの最大数に制限のあるキーボードは、
「音ゲー」などには不向きです。
最大で「3個」までしか同時入力を受け付けないキーボードも多く、
4個目のキーを押そうとするとビープ音が鳴ってしまうものがあります。
USB接続のキーボードでは仕様上「6個」で制限されていますが、
ほとんどのゲームでは6個までで対応が可能です。
それ以上の同時押しにはPS/2接続で対応します。
さて、キーの重さは一般的なメンブレンキーボードで65グラム、
メカニカルキーボードで45~60グラムという具合に差があります。
65グラムと45グラムはたかだか20グラムの違いに思われるかもしれませんが、
その違いを「キーを押しっぱなしにする」ゲームで比較した場合には
無視することのできない違いとなって現れるというわけです。
キーが軽すぎても操作ミスが発生しやすく、白熱するゲームプレイには
軽すぎるキーボードがしばしば問題として取り上げられます。
ゲームは夢中になると1時間でも2時間でもプレイしてしまう場合があり、
キーが重ければ負担となるし、軽すぎてミスを誘発するのも負担となります。
実際のところタイピングのプロフェッショナルよりもゲーマーのほうが
キーボードについてはうるさく、そのためゲーミングキーボードというものが
多くのメーカーによって提供されているわけです。
廃人ともなると1日10時間も20時間もキーボードを扱う人がおり、
単純に使用時間を考えても一般的な文書作成や数値入力の
業務よりも過酷な環境であるといえるでしょう。
個人差やキーボードの個体差はあっても、65グラムのメンブレンより
45グラムのメカニカルのほうが物理的な負担が小さく、
またキースイッチの寿命が長いという点が評価されています。
メンブレンキーボードはキーを深く押し込んでスイッチを接触させることで
入力される構造になっていて、キーが元の位置に戻るには
メンブレンシート(ゴム)の復元力を利用しています。
押すほどにゴムの反発は増すため、押し続けるには指先に力がいります。
これが長時間のゲームプレイには向かない理由です。
メカニカルキーボードはキー1つ1つが独立したスイッチになっていて、
ゴムではなくスプリングによって押下圧と復元力が制御されています。
キーの途中にスイッチを設けることで「深く押し込まなくても」入力されるため、
メンブレンのように押し込む必要がなく、反発も小さいのが特徴です。
メンブレンに比べて価格が高い(1万円前後~それ以上)のが難点ですが、
スイッチの寿命が長めで、製品のサポートの充実しているメーカーもあるので
長期的には安い買い物ということもできます。
パンタグラフキーボードは原理的にはメンブレンと同じものですが、
ノートパソコンに採用されているように薄型で、静音に設計しやすいのが特徴です。
その構造上、浅い入力で反応するのが長所でもあり短所でもあります。
軽快な入力で使いやすいという人もいれば、浅すぎて手応え(フィードバック)が
甘くて使いにくいという人もいます。
乱暴に扱うと壊れやすく、薄型でフラットな配列になじまない人も多いため、
特にゲーミング用としてのラインナップはほとんどありません。
静電容量無接点キーボードはスイッチに物理的な接点を持たず、
キーと基板との間の静電容量の変化を検出する構造になっていて、
接点のあるキーボードに発生する「チャタリング」が原理的に起こらなくなっています。
チャタリングというのは、キースイッチの摩耗や劣化が原因で多重入力が起こることで、
キーボードだけでなくマウスのクリックでも発生します。
正確な入力と耐久性を要求される分野において高い評価があり、
実質的に東プレがすべてのキーボードを設計しています。
OEMとしていくつかのメーカーから販売されていますが、中身は同じものです。
メカニカルと同等かそれ以上の価格(2万円前後)になっています。
あすさんが愛用しているHappy Hacking Keyboard Professional 2も
このタイプで、テンキーやアローキーがないためキーボードとマウスを近づけることができ、
左手は常にホームポジションを保ったままマウスを操作するゲームもしやすくなっています。
まとめると、メンブレンのキーの多くは65グラム前後と重く設計され、
なおかつ深く押すほどに重さが増すので疲れやすい。
ただ値段は一番安い。
メカニカルはメンブレンよりも軽く設計され、深く押し込まなくても反応し、
その状態を維持する負担も少なめ。
静電容量無接点は入力の最初に45グラム前後の抵抗があり、
それを超えると軽く「ストン」と落ちるため、押したままの状態を維持しやすい。
ここで自分の使ったことのないキーボードをお勧めするのはちょっと気が引けるので、
▲このメカニカルキーボード(赤軸)か
▲HHKBか
▲同じキースイッチかつ45グラム統一荷重のRealforceといったところ。
キーボードの寿命とかキートップの素材とか気にし始めると、
いずれはRealforceに行き着いてしまう人が多いみたいですねwww
でもゲーミング用ならLEDバックライトが鮮やかな光を演出したり、
ボリュームコントロールやマクロキーがついていたりするほうがいいので、
LogicoolやRazerといったブランドから選ぶのも手です。
「キーボードの足を立てるかたたむかの話題」もご覧ください。
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