2017/07/19

生ミズゴケを「苔玉の培地」として利用できるか実験

結論からいうと「できそう」。

残念ながらこれも失敗しました。
水に含まれる微量の塩類が徐々にミズゴケに蓄積し、ミズゴケ自体がどんどん弱って最終的に枯れるからです。
肥料や栄養剤の類いはすべてNGです。

ようするにミズゴケを生かそうとすれば苔玉の植物がまともに生育できず、苔玉の植物を生かそうとすればミズゴケが死んでしまうのです。

水道水ですら失敗するので、「雨水」か「蒸留水」か「逆浸透膜処理水」を使えば上手くいくかもしれません。
川の水や井戸水も塩類が多いので失敗します。







着生ランの苗が入っていた特殊なポットに生ミズゴケを入れて日当たりに置いてみたところ、
朝夕に水をたっぷり与えれば特に乾燥することもなく維持できるとわかりました。
しかし問題は乾燥するかしないか、ではないのです。
容器なしで生ミズゴケそのものを苔玉の形に保つことが難しいのです。

粘り気のある「けと土」に赤玉土、珪酸塩白土、緩効性肥料を混ぜて丸く固めたものに
「ミニ観葉」や山野草等を植え、周囲にハイゴケなどのコケを貼りつけたものを苔玉といいます。

苔玉に生ミズゴケを使うケースはちょっと聞いたことがありません。
乾燥ミズゴケを握って丸く固めたものに草木を植える苔玉はあっても、
ミズゴケが健全に生きられる状態のまま苔玉を作るのは難しいからです。

生きているミズゴケは非常にふわふわとしていてまず単独で「苔玉」にすることができません。
生ミズゴケを糸で束ねても上手くまとまらないんですよね……
硬い針金で枠を作って収めるしかないかも……

ある程度の形を維持できる容器に収めておかないといけません。
固くギュッと絞ったミズゴケはもうその状態のまま生育することはできなくなります。。
生育がいったん止まり、表面から不定芽を出して小さく再生するのを待つしかないでしょう。

それは結局、苔玉の内部のミズゴケは実質的に死んでいて、生きたミズゴケは外側を覆っているに過ぎません。
普通の苔玉のように内部には「芯材」として機能する硬い基質が必要です。
生ミズゴケを押しつぶすように固めないとふわふわして形が崩れ、「玉」の姿を維持できる強度が得られないからです。


固く絞って高密度に圧縮されたミズゴケがそのまま育ってくれればいいのですが、
実際はそうはいかず、内側のミズゴケは生育しなくなって外側に不定芽を出して再生し、
本来のふわふわの低密度な草姿が展開されます。

それでは苔玉にならないんですよ……
そもそも生きたミズゴケは固く密集する性質がなく、スカスカな空間に多量の水を蓄える構造になっているので、
一部を取り出して容器に入れずに管理することはほとんど不可能です。
固く絞ったミズゴケはすぐ乾燥してしまいます。

長いミズゴケをカゴのように編んで入れ物にすることはできるかもしれません。

しかし土台となる容器がなくては安定せず、結局鉢植えに近い状態になりそうです。

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